途方もなく長い時をかけて蓄積された製法・技法。
それがあたりまえにある土地(福井県越前市岡本地区)で作られた紙を主として、さまざまな日本の紙をご用立ていたしております。
ご希望の用途に適している紙はどのようなものか、など、色々と参考にしていただけたらと思います。
古くから公家・武家・寺社等の公用紙として重用された。丹後・加賀・阿波などでも漉かれていたが、将軍の御教書(みぎょうしょ)用にと、越前五箇に命じて漉かせた紙が大変立派な紙だったので、これを『奉書』となづけるようにいわれたのが、この紙の初めであるといわれる。独特の温かみと清らかさを感じさせる紙である。
昭和天皇即位式の大礼にちなんで名づけられた。紙の表面に"はな"と呼ばれる原料の繊維が固まった形で散らばっている。雲竜紙に比べると"はな"の繊維が短く"はな"そのものも少ない。上品な印象の紙である。越前和紙はこの紙の産地としても有名。
わが瀧家の本家筋であるところの滝匠(たくみ)が1935年頃に考え出した紙。大礼紙に比べると"はな"が多く、仕上げにロールをかけて光沢をつけている。外国での引き合いがあり、多く輸出された。
その滑らかな肌合いと色が鶏の卵に似ているところから「鳥の子」と呼ばれ、滑らかで字が書きやすく、虫の害が少ない。
中でも「越前鳥の子」と呼ばれた鳥の子紙は格別の扱いを受けた。その気品と風格は、越前和紙の代表にふさわしいものであり、現代の印刷技術にも充分応じていくことのできる最高級の和紙だろう。
明治八年(1875年)、紙幣用の紙作りのため、大蔵省抄紙部は越前の漉工8人を呼び寄せた。そして生まれたのが、印刷適性と耐久力は世界一といわれる新しい紙「局紙」である。1919年のベルサイユ条約の正文用紙にも採用されている。