ミチ: ところで、市兵衛さんお休みされる日とかってあるんですか?
市兵衛: 日曜日だけは休みます。
うちは原料に薬品をほとんど使ってないでしょ、ほやから続けて休みをやったりすると紙の原料がすぐ「傷んで」きてしまうんですわ。
梅味噌(来年、わが家にも配給予定)
ミチ: なるほど、とっとと次の工程へ原料を持っていかないでいるといい紙が出来んということですね。で、淡々とその週に6日の工程のサイクルを繰り返してく感じですね…。は〜〜。
市兵衛: だいたいやることは決まってしまいますね。
あと、こういうことやってると色々なお客さんが見えなはりますしね〜。
ご飯食べてる最中でも、ふらっと来なはる人もいて、知らん顔しとくわけにもいかんので、紙漉きのこととか一通り説明はするようにしてるんです。
ミチ: へ〜、結構、気ーつかってるんですね〜。
市兵衛: 誰かみたいに、話を“ほじくり出そう、ほじくり出そう”とする人も来なったりするし…。
ミチ: (お、おれか!?)スミマシェン、へへへ。
市兵衛: ははは。
ミチ: あの〜、岩野さん男の子のお孫さんがいらっしゃるって聞いてるんですけど、11代目がもうすでに確定してるって感じですよね〜?
市兵衛: あ、いや〜、どうも息子らは孫に無理に紙漉きをやらせる気はあんまりないみたいやね。「うら」もその方がいいような気もするしの〜。
なんちゅうんか、世の流れって言うんですかね〜。確かに「うら」ら人間国宝ってやってて売る紙の値段は高いと思います。
でも、原料やらはどっかから買ってるんでね。その原料がそもそも高いんでね。
また、ややこしい原料が多いですから確保するのも難しくなってくると思いますし。
実際、今はなんとかそこそこ家族は食べていけてるんですけどね。これからは分からんでないですか?!
ミチ: ………。
ミチ: ん〜〜。僕なんかは安直なことは言えないですし、言いたくないんですが、今日ここに寄せてもらって思ってるんですけど、
“す〜ごくかけがえがないぞ、これは”って気がしてまして…。
…日本人っていうよりも、もう人として「なくしてはいけないものがここにある」って、ものすごく強く感じるんです。ちょっと大げさですけど…。
それが岩野さんなのか、岩野さんの漉く紙とかやり方なのか、あるいは岩野家なのか、それともひっくるめて全部なのかはよく分からないんですが、とてもとても大切な気がします。
市兵衛: 「うら」もそこまで言うてもらえると嬉しいけどのう…。
ミチ: だから…、どうにかならないもんなんですかね〜?
市兵衛: む〜〜ん…。
双方: ………。
ミチ: ……だいぶ長居してしまったんで、僕、帰りますわ。また、そのうちヒョコっとお邪魔させてもらいます。
市兵衛: あ、そうですか。ほんなら、またいつでも来てください。あっ、「にがうり」でも持って帰っておくんねの。
ミチ: ゴーヤですね。そしたら、遠慮なくもらって帰ります。ども、本当にいろいろありがとうございました。
市兵衛: いえいえ、また来てください。
双方: それでわ。
市兵衛さんちの畑(奥がご自宅)
プレドラグ ミチビッチ
Predrag Michivic
Mr. Michivic
国際的なサッカー選手プレドラグ・ミヤトビッチは遠い血縁関係にあたり、星占いをこよなく愛する、夢見がちで妄想癖ないつもひとりでブツクサ言ってる困ったおっさん。TAKIPAPER研究開発企画部門の顧問キャラクター。
カボちん
KABO-chin
TAKIPAPER総合折衝担当見習い助手。どんなにこんがらがった交渉ごとも、彼女が1本電話を入れるだけであっさり解決しちゃう!的なことを夢見て描かれたキャラクター。