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すかしについて

すかしいれがみ[透かし入れ紙]

*以下和紙文化辞典より抜粋

透かし文様を入れている紙。透き入れ紙ともいう。

中国では水紋紙・花簾紙といい、北京故宮博物館収蔵で波浪文様の透かしがある李建中の「同年帖」の紙葉は十世紀のものである。

イタリアでは1282年に、キリストを象徴する十字形に小円をそえた単純な透かしを入れたものからはじまっている。

中国では紙箋用の飾りにすぎなかったが、ヨーロッパでは製紙業者の商標であったので多彩に発展し、のちに紙幣の偽造防止のために用いられ、白透かしのほかに色透かしや黒透かしも開発された。

日本で最初の透かし入れ紙は、福井藩の御紙屋のひとり、加藤播磨が萌黄地鳥子紙に梅と鶯の文様を漉き込んで、万治三年(1660)に藩主に献上したものである。

藩札用としては、延宝七年(1679)徳島藩が抄造した阿波延宝札が透かしの最初で、その後多く藩札に用いられた。

透かし文様を鮮明にあらわすためには、溜め漉きで厚口の紙が適しているが、美濃の紋章子紙は薄口の流し漉きで透かし文様を入れている。
これは亨保七年(1722)刊の三宅也来

万金産業袋(ばんきんすぎわいぶくろ)

巻一の「美濃国紙」のなかにみられるので、十八世紀初期からはじまったといえる。

透かしの文様部分を薄くするために、漉簀(すきす)[漉型]に固着する彫刻型は、ヨーロッパは金属の線条細工、中国は麻糸を編んだもの、日本は型紙または漆型であるが、紋障子紙は糸を編んだものである。

なお日本で黒透かしをつくるのは原則として大蔵省印刷局に限定され、「すき入れ紙製造取締法」によって、民間では許可なしに黒透かしを作る事はできない事になっている。

なお透かし入れに似たものとして、漉き込み紙・落水(らくすい)紙・流水紙などがある。

washidictionary

*以上が、和紙文化辞典による、「すかし」にまつわる周辺事情の説明であります。
*この記述に関しましては和紙文化辞典発行者であるわがみ堂浅野昌平氏の許可を得て転載しています。