もみ

"モミモミ"するのでもみ紙。手作業で、一枚一枚紙を揉み、ていねいにシワをつけることで、
えも言われぬ温かみのある、味わい深い紙になります。

"水を打つ"前の段階で、紙を何枚かずつずらしておきます。
ババッッつ!
何のためらいもなく水をぶっかける。これが"水打ち"。
ずらした分だけ紙を持ってきて、水をかける、これをくり返します。
ビシャ~っ。
そして、どうでもよさげな紙をかぶせまして...、
一晩放置。
紙に水分が均等に行きわたり、シワが入りやすくなります。
そして揉む。
一枚の紙を揉み加減を変え、一人一人が順番に揉んでいきます。
まさに、"もみ三人衆"といった佇まい...。
紙を広げて...、
丸めて...、
こすりつけ"モミモミ"しながら、丸めて...、
パーース!
ぼくらはもみをリレーするのだ...
さらに広げて...、
モミモミ...。
ナイロン袋の中に詰め込み
しばし放置...。
で、今度は丸めた紙をのばします。
ひらひらひら...。
"あうん"の呼吸で紙を広げてのばしてゆく。
ピッ、ピッ。
少しでも力を入れすぎたり、タイミングが合わないと、
紙が破れてしまいます。
ある程度たまったら、軽く重しをして
置いておきます。
紙一面に"のり"を薄く塗る機械。
もみ紙は強度を確保するために"裏打ち用紙"という紙を
貼り合わせることが多いです。
紙を出したり止めたりするペダル。
"のり"が塗られた裏打ち用紙が出てくると、
それを取りまして...、
横からもみ紙を1枚かぶせて...、
さらに"あて紙"を置いてその上から、
凄まじいスピードで、
ナデナデナデナデ~、ナデナデナデナデ~。
何度もくり返して段々とたまってきました...。
最後に紙をつって、乾かしたら、やっと出来あがりです。

この行程を担当する職人達!

菖蒲 寿一

Toshikazu Shohbu

Smashing fist

気の遠くなるような数の紙を揉んできたその両拳は、全く衰えを知らない。技の切れ味は凄みを増す一方である。

佐々木 喜平

Kihei Sasaki

White blizzard

早朝現れる白髪のダンディー。紙をひたすら揉むというストイックな行為は夜明け前から始まる。

滝 輝夫

Teruo Taki

The Don

全てを統べる者。私財を投げ打って紙に関するあらゆることに投資してきた。設備はある。だが、真の財産はお金では決して得ることが出来ない、気高き職人達とその類い稀な技術である。

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